昨年の2月・7月と発達障害について取材させていただいた借金玉さんの書籍が発売されたと聞き、光の速さで読みました。今回は、その本の感想を少し書きたいと思います。
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働かなくても休むことはできるが休まなければ働くことはできない
借金玉さんとは誰か?なのですが。
北海道出身、ADHDと診断されコンサータ―などを服用して暮らす発達障害を抱え、現在は不動産営業とライター・作家業を営まれています。著書に「発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術」(KADOKAWA)がベストセラーとしても有名です。
そして今回の「発達障害サバイバルガイド」は、生きることにテーマを置いています。
読み分けとして、【環境・活動・休息】この3つについてバランスよく書かれた書籍だと感じました。発達障害を抱えた方でも、そうでない方にとっても金言の詰まった一冊です。内容として、
- 生活環境(サバイバルに絶対必須の設備ハック)
- お金(貧困と借金から学んだマネーハック)
- 習慣(繰り返しが苦手な僕らの365日ハック)
- 在宅ワーク(だらだらに勝つ自宅作業ハック)
- 服(おしゃれとか以前の身だしなみハック)
- 食事(ずぼら完全対応版自炊ハック)
- 休息(生き延びるための休日ハック)
- うつ(不安とともに生きる再起ハック)
以上8章にて構成されています。
『できないことは、できない。』から始めよう。
本の第一章が生活環境についてから語られます。
書籍の第一章に何を置くかは大切で。著者にとって本の内容の掴みの部分でもあり重要な部分を持ってきます。最初のページをパラパラとめくり離脱する方も多いので、ここで最低限伝えておきたい部分を置く。
その最低限伝えておきたい部分に、生活環境がいかに大事か?を持ってきたということは『発達障害者にとって、生活環境がいかに重要か』ということです。
できないことは、できない。
そこを踏まえた上でどう環境を整えるか?について語ります。
発達障害を「治す」のはあまり現実的ではありません。となれば障害を抱えたまま人生をうまくやっていくためのノウハウをつくりだしていく以外に、結局のところ選べる道はないのです。 (はじめにより引用)
先日、YouTubeのサブチャンネルに我が家のリアルな休日の部屋の散らかりっぷりをアップしました。
【暮らし】本当にあった呪いの休日ルームツアー。日常の闇へようこそ。
我が家の娘は発達障害(ADHD)ですが、他の夫や息子も扉を開けっぱなし・物をその辺にポイポイ族であり…。
各人、努力するけど【できないこと】が存在し。
それを無理に変えることより、
互いのできることでお互いの凸凹をフォローし合いましょう。
というスタイルを我が家は取っています。
例に出すと、
・私は掃除や片付けが好きで得意だけれど、料理は得意ではない
→夫は料理が好きで得意(料理は夫に任せる)
・息子・娘もキッチリ物を片付けることはできないけれど、簡単なお手伝いならできる。
→私の手の回らないこと(洗濯物を干す・取り入れる・掃除機をかける)などを手伝ってもらう。
など。彼らが物を出しっぱなしにするなら、それを私が片づける作業が発生する。全部が全部やれないので、
私のできないことは彼らに投げ、私は彼らをフォローする。
お互いにフェアー(対等)な関係を作る。
我が家は「できない」を前提にライフハックしています。いかに相手をコントロールするか?ではなく相手の生まれ持った「できること」を強化し、お互いwinwinであったほうが幸せだと判断したからです。
家族に発達障害を抱えた人物と生活する上で、「あたりまえができない」ということがトラブルになります。
↑こちらのナカモトフウフというYouTuberのご夫婦のダイスケ氏はADHDがあり、奥様のちゃんまりさんが動画内で、障害ゆえの片づけの出来なさが夫婦関係にも一時期影を大きく落としたことを語られています。その中で印象に残ったお話が
障害名があったからこそ気持ちの切り替えができた。
普段、掃除が好きでキレイ好きなダイスケさんが使用済みのティッシュなどのゴミをそこらじゅうに放置する。
けれど、それはダイスケさんの意志ではなく。
本来キレイ好きなダイスケさんに【障害がそうさせているのだ】と思うと
障害に対してはコンチクショウ!と思ってもダイスケさん自身を恨むことはなくなった。
ご夫婦の障害との向き合い方も素晴らしいですが、人として夫婦として向き合う姿には心打たれるものがあります。こちらのご夫婦も「できないことは、できない」から始められています。
暮らしや人生を快適に生き抜きたい。生活に投資することの重要性。
借金玉さんに初めてお会いしたときに「ミニマリスト やまぐちせいこ」として出会いました。出会って、少しお話し借金玉さんから言われた言葉は、
「物を持たないミニマリストだと少し警戒していましたが、
ちゃんと合理的に物を持つことをされている方で安心しました。」
という言葉でした。
借金玉さん曰く、ミニマリストというライフスタイルは発達障害を抱える方で物の量を多く管理できない方にとっては、本当に良いスタイルだと思う一方で、必要な物まで持たないことは非合理的であり、苦しい現状から抜け出せない原因ではないのか?と指摘されました。
「暮らしに投資する。」
という考えは発達障害当事者は特にそうですが、それ以外の人々にとっても重要だと語られます。借金玉さんが月6万円という予算でギリギリ極貧生活の中で出会った人にも、
- 少ない収入でもそれなりに快適な生活を送る者
- それなりの収入があっても不便極まりない生活を送る人
この両者が存在し、何が明暗を分けるかを考えたとき「家に洗濯機があるかどうか」だったそうです。
人生の中で使える時間は24時間。その限りある時間に洗濯機2万円を出すことで得られる時間的コストのメリットに対し、生活困窮者は投資をしないと指摘します。そして、それが暮らしや人生の明暗を分けると。
楽をするということは、意外に難しいことです。「自分が惰性だからこんなことになるのだ。」と自罰感情は沸いても、「どうすれば楽になるかな?」という工夫の方向性へ思考が向かわないのです。この悪い思考ルーチンを解除するには、一度
「設備投資をしてみたら劇的にラクになった」という体験をしてみるしかありません。
いくら字面で理解できても、実感が伴っていなければ無意味なのです。
(第一章 食洗器が「先延ばし人生」を解決する)より引用
私自身も6月末で「ミニマリスト」という名前は手放しましたが、物を持たない暮らしの中でも「何を優先すべきか?」と考えたとき、生活の質には投資する。ここにはお金は惜しまず使い、物を持ちました。
「お金を稼ぐこと」は大切だが、それ以上に「お金の使い方」が重要だ。
生活環境を整えることは、少ない資本でも豊かに暮らす明暗を分ける。
これはある意味「お金の使い方」が人生の明暗を分けることの指摘ではないかと思います。本書で私自身一番響いた言葉として、
働かなくても休むことはできるが
休まなければ働くことはできない
このことに関しては、私も40数年と。まだまだ短い人生の中で骨身に染みることでもあります。どうすればお金を稼ぐことができるか?を考えたときに、稼ぐ以前の問題で、
「どうすれば良いパフォーマンス(活動)を行うことができるか?」
ここをシッカリ整理する必要があります。
そのためには環境設定として「どうお金を使うのか?」
肉体のコンディションを整えるためには「どう時間を使うのか?」
お金の使い方と時間の使い方はリンクしているので、ここの優先順位の判断を明確にすることは人生の突破口だとも言えるのではないでしょうか。
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私自身参考にした「お金と選択」
昨年の7月は、ミニマリストでもある証券ディーラーの肘さんや借金玉さん含め…第一線で活躍し、仕事の結果を出されている方々に「お金と選択」をテーマに取材しました。その取材の際、異口同音。口々に皆さんが言った言葉は、
「座り仕事なら椅子には投資しろ。」
「体のケアには金と時間をかけろ。」
生命活動の拠点、一番の資本は肉体である。その資本を活かすための適切な投資は惜しまず行いなさい。ということでした。
特に仕事道具に関しては、YouTuberのヒカキンさんもMacbook proなどの機材を毎回最新の物へ買い換える理由として、1分でも2分でも最適化されるなら投資することが大切だと語られています。
我が家も5月の引っ越しの際、何を買うか…で悩みましたが、物の選別はある種の決意表明でもありますので、8~9万円の普段だったら買わない値段の椅子でしたが私も買うことにしました。
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あらゆる物は壊れる前にケアしたほうが安上がり。
私自身も動画編集やブログ・記事の寄稿など…長時間椅子に座って作業する時間が長いので、椅子を買った感想としては「腰の痛みが抜けて、いい買い物だった!早く買えばよかった!」です(笑)
必要なことは「金を稼ぐ」技術より「貧乏でもやっていく」技術
投資と聞くと「お金持ちだから高価なモノが買えるのでしょう?」という突っ込みが入りそうですが、実は違います。借金玉さんも名前の由来は事業に失敗し2,000万円の負債を抱えたことが名前の由来だそうです。
ジリ貧のお金がない中でも自分自身の人生をよりよく快適に生きるためのお金の使い方についても本書では語られています。
教養とは、お金がなくても楽しく暮らせること
上記の「教養とは、お金がなくても楽しく暮らせること」という言葉を読み、一瞬「?」でしたが、なるほど~!!!!と、膝を打ちました。(詳しくは本書をお読みください)
あなたがあなたであるということに、最大の価値をおくべきだ。
自己啓発本などの「成功する秘訣!」のように「自分を変え、いかに成功を掴むか?」という本ではなく、「みんなでうまいこと生き延びて幸せになりましょう。」と著者の静かな願いと、人間として根源的な幸福について書かれたように感じます。下記は「おわりに」からの引用です。
本当のあなたを「ハックするな」
僕のライフハックのテーマは「自分を変える」のではなく、「やり方を変える」「環境を変える」「道具を変える」など、パーソナリティの外部にあるものを工夫することで変化を起こすことをモットーにしています。
そこでひとつだけ気をつけていただきたいことがあります。
「正しいハックを実践して正しい人生を生きるぞ!」みたいな気持ちには、絶対になってほしくありません。あなたが工夫することは素晴らしいことですが、工夫があなたになってしまうことは恐ろしいことです。
僕の文章は、あなたが幸せに生きてほしいという気持ちで書かれています。あなたがあなたである、ということには最大の価値をおくべきだと僕は心から思っています。
借金玉著「発達障害サバイバルガイド」より引用
発達障害を抱えた方へのライフハック本として書かれていますが、そうでない多くの方が読んでも目から鱗のハック術ですので、興味のある方には絶賛おススメしたい一冊です!
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