2018年は、発達障害ブームでした。
その中で言葉だけが先走り、その先の「発達障害。じゃあ、どうするの?」
それは周囲の人々、当事者、支援者に対して私は聞きたいと思ました。
「具体的にこうして欲しい」
「こういう方法がある」
という部分には言及されずにいることに気持ち悪さを感じていました。
そして、私自身が何より発達障害とは何か?ということを知りたい。
ごくごく個人的な企画として【暮らしを訪ねて】という活動を今年はやろうと思います。
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取材第一弾は『僕の彼女は発達障害』の共著 寺島ヒロさんご夫婦
寺島ヒロさん(左)・寺嶋克紀さん(右)
大分県在住:寺島ヒロ名義で漫画家として活躍中。著書には、くらげ氏との共著『僕の彼女は発達障害』の漫画担当。
家族4人暮らしですが、寺島ヒロさんはASD・ご主人はADHDの特性があるそうです。お子様も凸凹があり日常生活を漫画として綴られています。
普段の生活で困ること
今日はどうぞ、よろしくお願いします。単刀直入にですが、普段のお暮しで困っていることってありますか?
私はASDの特性はありますが、全然片付けできますね!定位置が決まれば、モノは元の位置に戻せます。むしろ、モノが元の位置に戻っていないことのほうが気持ち悪いですし、ストレスです。
私より、夫の方が日常生活で困りますね!
どういうところに困りますか?
とにかく定位置に戻さないのか?戻せないのか?
例えば、テレビのリモコンの定位置がテレビの横だったとします。
リモコンを使って、その辺にポイ!と置いてしまう。
僕にとっては、ここが定位置なんですよ。物を使って、使いやすい場所に置く。ここに『リモコンを置いた』この位置はちゃんと覚えているんです。
これを僕の知らないところで、リモコンを移動されると分からないです。僕の中では、置いたモノを勝手に動かされるって感じです。僕が自分で置いた場所はちゃんと覚えてます。
いやいや!覚えてないでしょ!(笑)
見えないモノは無いモノと同じ
リモコンの上とかに、またモノを置くでしょ?するともう見えなくなりますし、覚えてたこともリセットされちゃうんです(笑)
そうそう(笑)
だったら余計に定位置管理したほうが、よくないですか?(笑)
『それって、正しいの?』が気になる
そもそもどうして定位置に戻さないんですか?
逆に聞きますけど、どうしてその定位置が『正しい』と分かるんですか?その定位置が正しくない場合もあるわけでしょう?正しいかどうか分からないことをやるのが嫌なんですよ。君にとっては正しいかもしれないけれど、僕には正しくないって。だから、僕がココだ!と思うところに置くんです。自分が正しいと思っていないことに従うのって、負けたって気がするじゃないですか。負けてもないのに負けたくないんです。
正しいの定義と勝ち負け
ここから少し、発達障害の特性の1つである「勝ち・負け」に、こだわるについての話と「正しいか、正しくないか」の話になりました。しかし、世の中には、勝ち負けだけではなく、
試合に勝ったけれど、勝負に負けた
というように1つのことを考えるとき、
・Aで考えれば正しい
・Bで考えると間違いだ
という白か黒か?ではないグレーゾーンがあります。
そのグレーゾーンを受け入れられないという話を少し掘り下げました。
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失敗を学ぶ機会を取り上げられる
克紀さんになぜ正しさにこだわるのかと聞くと、
僕自身がこれまで、仕事なり働くときに、急に「もうやらなくていい!」と、仕事を取り上げられることが何度もあったんですね。何が間違っていたのかの説明もない。何がどう間違っていたか分からないまま×をつけられる。
だから、理由は分からないけれど「僕が間違っている」「向こうが正しい」の繰り返しなんです。僕だって間違えたくない。だから「それが正しいかどうかが凄く気になるんです。
関わる人の伝える力の問題
ここには日本人独特の
- 言わずもがな(言うまでもない)
- 常識的には
- 普通は
の文化が影を落としているように個人的に感じました。
「分かっていることを前提」とした考えです。
「伝える」ことの欠落です。
「自分の教え方や伝えたいことは、届いているだろうか?」
という視点。周囲の人間の関わりかたとして、伝え方・伝わり方を疑うことは重要ではないでしょうか?
危険回避としての「正しいかどうか?」
自分自身で「あ!これは間違えた!」と、感じる前に
「あなたのやっていることはダメだ。」
そう突き付けられると、
「こういうことがダメだったんだな。
次は気を付けよう。」
と、自分で学ぶ機会を奪われ、
「あなたはダメだ」
と、全否定される。
自分自身を全否定されることが好きだと人はいません。これを回避するためには「正しいかどうか?」が気になる。
ADHDは「人」にこだわりがあり、多動・衝動性は感情の増幅器
奥様の寺島ヒロさん曰く、
「私の夫や周囲のADHDの方を観察すると、何にフォーカスするかと言うと【人】にフォーカスするんですよね。人に興味関心があるから、人に注意がいってしまう。目の前にやらなければならない作業があっても、作業より人が気になる。
夫の場合も
『また、注意されるんじゃないだろうか?』
と、人ばかり注視してしまい、目の前の作業に集中できない。1つのことが気になると爆発的に集中してしまう。それは感情も同じで、良いことにフォーカスすれば1のことが10にも20にも膨れ上がりますが、マイナスの感情も同じように増幅されます。
他人からみたら、
『そんなこと気にすることじゃない。』
ということも、脳の機能として増幅されてしまう。本人ではコントロールの難しい問題なんです。」
「ADHDは人のためなら覚醒する」説については『利他的動機付け』というテーマで論文も書かれており、
— 凹凸ちゃんねる (@hattatu_matome) February 5, 2019
『ADHDの子供は他人の笑顔や感謝の言葉を報酬にした時、健常者よりも一時的にスペックが上がる』
という結果が研究によって実証されていたりするんですよね pic.twitter.com/L1RUUmCMna
これは個人差ですよね。僕は報酬的感覚があまり働かないですね。Aを行うとBという報酬がある・・・って正直分かんないじゃないですか。何で経験もしてないことを前提に話するの?って。分からないことをゴールにすることに抵抗があります。本当なのか?が気になってフリーズします。
克紀さんの場合は、ADHDが強く出ていますが「0or100思考」のASDもありますよね。継次処理の方ですと1つのことを習得するのに時間が必要ですので、自分で答えを出すことを取り上げられてきたこと、間違っていたなら何が間違っていたかの説明がないなどの環境による外的要因が生きづらさに繋がってますね。
2018年 発達障害ブーム。啓発したその先にあるもの。
モノの定位置など、克紀さんなりの考えやこだわりがあって『定位置』ということ1つでも、その人の人生や背景がある。そこは、しっかり話を聞く必要のあるお話でした。寺島さん夫婦は、
自分のモノ、家族のモノ
それぞれのゾーンを決め、それに干渉しない
という暮らしの工夫をされていました。
寺島ヒロさんに発達障害ブームについてお話をお伺いすると
まずは社会的にTVとしてN〇Kが取り上げてくれたことが大きかったです。私たちの親世代は発達障害自体知らない世代です。まず、その世代に理解して欲しいです。
そして、夫も昨年の8月にADHDという診断を受けましたが、『同じ悩みを抱えているのは、あなた一人じゃない』そのことをこれからも届けて欲しいし、届けていきたいです。
啓発の次のステージは、教育ですね。診断を受けた方からは、医療機関では「発達障害です」の後がない、どうしたら自分の人生が良くなるのか、それを知りたいという声をよく聞きます。
発達障害の人同士でライフハックを共有したり、障害のせいで学び損ねたことを学び直したりできる場を作ることが大事だと感じています。実は、以前、共著で本を出させていただいた“くらげ”さんや“あお”さんと立ち上げたLotusというNPOでそういう活動を始めています。今は東京のみですが、少しずつ広げていこうと思っています。
寺島さんご夫婦、取材協力ありがとうございました!
3時間という取材時間でしたが、快く引き受けて下さった寺島さんご夫婦。ありがとうございます。
寺島ヒロさんのお子さんやご家族のエピソードを漫画にした
「うちの凸凹兄弟 発達障害子育て絵日記」が3月8日(金)発売です。寺島家に興味のある方はこちらもぜひ!よろしくお願いします。
取材協力は、佐伯市のカフェ『coffee 5』さん
今回取材は佐伯市にある『coffee 5』さんで行いました。 (写真は魔界フェス)
通常21時閉店のところ、30分延長していただき、ありがとうございました。
【2月19日(火)6冊目、写真満載の暮らしの書籍が発売されます】
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